【後編】休みたいのに、心も体も休まらない…そんなお悩みを抱えていませんか?

こんにちは。ハレラボのひがしさやかです。

さて、今回は前回の続き…「休みたいのに、心も体も休まらない」をテーマに、もう一つの要因について言及していきますね!

前回の記事はこちら

過剰なエネルギーの消耗をする、神経系のパターン

休みたいけど、心も体も休まらない方は、

エネルギー全開の活動状態から、一転、パタっとエネルギー切れを起こして動けなくなるパターンを持っていることがある…とお話ししましたね。

〈〈エネルギー全開で活動する〉〉

↓↓↓ 

〈〈エネルギーがぷつっと切れて動けなくなる〉〉

今回は特にこの、エネルギー切れを起こしてしまう要因である

②過剰なエネルギーの消耗をする、自律神経系のパターン

についてお話ししていきます。


自律神経とは?〜3つの神経系のお話し

自律神経とは、呼吸や心拍、消化などの調整を司る神経のこと。自律して動くので自律神経と呼ばれてます。呼吸しなきゃ!と意識しなくても、わたしたちが生きていられるのは、この神経が正常に働いてくれているから。

朝起きて活動的になり、夜になると眠くなるというように、内外の環境に適応しながら、体の緊張やリラックスを調整してくれています。

スティーブン・ポージェス博士のポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)によると

自律神経には、「興奮・戦う逃げる」「リラックス・つながり」「フリーズ」の3つの神経モードがあることがわかっています。

それぞれのモードを、簡単に説明すると・・・

「興奮・戦う逃げる」…呼吸や心拍が早い、過活動・戦闘体制、危機に対応するためにエネルギーを急激に使う(交感神経)

「リラックス・つながり」…呼吸や心拍が落ち着いてる、エネルギーを蓄える、リラックスして人とのつながりが楽しめる(腹側迷走神経)

「フリーズ」…呼吸や心拍が遅い、エネルギーの温存モード、死んだふり(背側迷走神経)

上から順番に、覚醒状態が下がっていきます。

ここでは、覚醒度合いが 高い↗︎中くらい→低い↘︎ の3つのモードがあるんだな〜と、ざっくり理解してもらえれば大丈夫。

1日のうちに、この覚醒度合いは、波のように上がったり下がったりします。

↗︎↘︎↗︎↘︎↗︎↘︎

通常、自律神経の快適なモードは、覚醒状態を高低しつつも、穏やかさや安心感を感じられる「中くらい」をベースに高低の波があるのが理想と言われています。

例えば、Sさんのある朝を神経系のモードで見てみましょう。

Sさん、朝は弱いのでふとんの中で、しばらくゴロゴロします。体はまだゆっくりとしか動かせません(低覚醒モード)。↘︎

カーテンを開けて陽の光を浴びると、ようやく目が覚めて、活動的になっていきます(低覚醒モード→中くらいの覚醒モードへ徐々に上がっていく)。↘︎

朝食後のお茶を飲みながら、1日のスケジュールを確認していると(中くらいの覚醒モード)、、、

とある仕事の締め切りが、今日までだったことに気が付きます。「忘れてた…どうしよう!!」心臓がドキドキして、汗が吹き出します(高覚醒モード)。↗︎

ところが、よくよく確認すると、締切は1週間後の勘違いだったことがわかります。「よかったぁ〜」ほっとして大きなため息が出ます。(高覚醒モード→中くらいへ戻る)。↗︎

一息ついて、いつもの自分に戻り、気を取り直して出かける準備を始めます(中くらいの覚醒モード)

自律神経に起こっていることとは?

さて、「休みたくても休めない」あるいは、「休日にエネルギー切れを起こしてしまう」方は…この神経のモードが、常に交感神経優位の高い覚醒モードで活動してる可能性があります。↗︎↗︎↗︎↗︎

覚醒レベルが上がったとしても、ここにブレーキが効いて、覚醒レベルが中くらいのモードに戻っていくのであれば、いいのです。

ところが常に高い水準のまま覚醒しているとどうなるでしょうか?

心臓がドキドキして、呼吸は浅く、血流は体の中心に集中し、筋肉は固まることで、常に戦闘モード。…そう、エネルギーをとても使います。

乗り越えるべき脅威がある時ならば、この反応は必須です。

ところが神経反応が、日常のあらゆる刺激を、脅威とみなしてるとしたら…?

エネルギーはいつか枯渇してしまいますよね。

ある一定の水準を超えた時に、急転直下、エネルギーを温存する、低覚醒モードへ一気に落ちていきます。

あるいは、日常を離れて一人になれた時、休んでいいと思えた時に、活動停止状態になります。

これはアクセルを踏んだ後に、ゆるやかなブレーキが効いていない状態ということを表しています。スピードが出過ぎたら、ゆるやかにブレーキを効かせて調整しますよね。ところが、このゆるやかなブレーキが使えなくて、どんどん加速しつづけ…、急ブレーキを踏むしかなくなっているのです。

神経系のパターンが、習慣的反応的に、【アクセル全開急ブレーキ】というパターンになっているのですね。

例えば…

⚫︎なかなか眠りにつけない
⚫︎些細なことに敏感に反応して、不安や恐怖、イライラにさいなまれやすい
⚫︎全然疲れないので頑張っていたら、ある日突然動けなくなった(鬱状態)
⚫︎常に思考がぐるぐると回っている

という状態として現れやすいです。

これは神経系に染み込んでいる反応のパターンです。いわば、無意識領域で起こっていること。

だから、意識の上で、どんなに「もう休んでいいよ、緩めていいよ」と、声がけしても、コントロールすることが難しいのです。認知レベルでの介入ではなかなか改善が難しいところでもあるのですね。

今回は、エネルギー切れを起こす神経系のパターンで説明をしていますが、神経系のパターンは、人それぞれ固有のパターンがあります。特にトラウマを持っていると、トラウマ体験や過酷な環境に適応するために、このパターンが複雑化してしまいます。結果、それが長い目で見ると不適応を起こす要因になっているのです。

解決のためにできること

では、今回のパターンの場合、解決に向けてどのようなアプローチができるのでしょうか。

それは、

ゆるやかなブレーキを使えるようにしていくこと

です。

このゆるやかなブレーキは、実は、人とのリラックスできるつながりの中で培うことができます。

人と安心感の中でつながれている状態は、自律神経に程よいブレーキをかけて、呼吸や心拍数をゆるやかに保ち、程よく活動的に、程よくエネルギーの補給を行うことができる、中くらいの覚醒レベルにある時です。

自律神経でいうと、腹側迷走神経のスイッチが入っている状態です。

何かストレスやモヤモヤ、不安があったときに、人に話を聞いてほしい!と思うことないでしょうか?あるいは、不安な時、何はなくとも、誰かに側にいて欲しいと思うことはないでしょうか?

あれは、神経系の観点からみると、人とのつながりを感じることで、興奮状態が落ち着いて、安心できるからなんですね。

が、、、これは、人といることが脅威となっていると、なかなか難しいですよね。これを読んでいる方は「人といてリラックスなんて感じたことありません」という方の方が多いかもしれません。

カウンセリングの場面では、セラピストとの間で、少しづつこの感覚を掴んでもらうことも視野に入れています。ここは時間をかけてゆっくりとアプローチしていきます。ほとんど、クライアントさんは意識することがないかもしれません。また、前編でお話ししたようなトラウマや信念体系を扱うことで、人への恐怖がゆるんでいくと、自然と使えるようになっていきます。

ただ…これもハードルが高く感じるかもしれません。

安心してください^^

一人でもできる、ゆるやかなブレーキを使う練習があります。
いくつかあるのですが、今回はその中の一つを一連のエクササイズとして、ご紹介したいと思います。

ゆるやかなブレーキの回路を育てる、エクササイズ

*・*・*・*

①まずは、自分の過活動状態に気がつくことが大切です。

過去の自分を振り返ってみて、自分はいつもどれくらいの覚醒モードにいるのかな〜と、思い出してみましょう。何がきっかけで、活性化、興奮しやすいでしょうか?そして、何がきっかけで、その興奮状態が落ち着くでしょうか?振り返ってみましょう。

②では、今ここの自分の状態は  高/中/低 どこの覚醒モードにいますか?

立ち止まって、自分の状態をモニタリングすることができると、それだけでもブレーキを踏む練習になります。

③さて、今回のお悩みの場合、高い覚醒モードを持続したまま活動していることが考えられます。そこで、自分が高いモードにいるなと気がついたら、クタクタに疲れてしまう前に、数秒でも、2〜3分でもよいので、小まめにお休みを入れることを意識してみます。

④その時に、周囲の景色を見渡します。「何が見えるかな〜、どんな色があるかな〜」と、目をキョロキョロ動かして、周囲にあるものとつながるイメージです。もし、視野を広くするのが怖いなと感じたら、無理に広く見ようとしなくて大丈夫。自分がOKできる範囲で、周囲のものを見ます。

⑤次に、腰の後ろに手をあてます。前へならえの先頭の人をイメージしてみてください。両手を腰にあてるあのポーズです。ポイントはわき腹ではなく、腎臓の後ろあたりを優しく包み込むこと。手が腰に当たっていると体にどのような感覚が起こるか観察してみましょう。このポーズで2〜3分過ごしてみます。

こちらも違和感があれば無理には行いません。どちらも、自律神経に働きかける動作ですが、エクササイズは自分が脅かされない範囲でやっていくことです。自律神経にとっては、小さな小さなアクションが充分な刺激になります。

・・・

このように、頑張りすぎているなと気がついたら、疲れる前に立ち止まって、こまめにお休みを入れてみます。完全に休むというより、アイドリングする感じで十分。交感神経の上昇の波を抑えて、神経パターンに変化を起こしていくことが期待できます。

そして、立ち止まれた時は、ぜひ、自分に二重丸をつけてあげてください。自分の体を労わることは、自分を大切に扱えるということ。人には優しくできるけれど、自分には厳しい方が多いと思います。人に向けるその優しさを自分にも向けてあげてくださいね。

まずは、数日からトライして、体にどのような変化が起こるのか、ぜひ探究してみてくださいね。

ゆるやかな波を神経系に体験させてあげることで、休みたくても休めない体に新しい回路ができ…、、休める体の基礎となっていくことと思います。

*・*・*・*

というわけで、今回はここまでにしたいと思います。

ポリヴェーガル理論の自律神経のお話は、また折に触れて、ご紹介できたらいいなと思っております。詳しく知りたい方のために、関連書籍を末尾に掲載しておきますね。きっと癒しにお役立ていただけることと思います。

それでは、今日もお疲れ様でした。

あなたの心が晴れますように。

関連書籍
「『安心のタネ』の育て方」浅井咲子著 大和出版
「『今ここ』神経系エクササイズ」浅井咲子著 梨の木舎
「セラピーのためのポリヴェーガル理論」デブ・デイナ著 花岡ちぐさ翻訳 春秋社

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