生きづらさを乗り越えた先にある、ギフト

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セラピーを受けることの意味ってなに?

さて、皆さんは、「セラピーってなんだか怖いな」と感じることはありませんか?

悩みを相談するときって、自分でも隠しておきたかったものを明るみに出さなきゃいけないしんどさがあります。

そして、心の問題には、必ずネガティブな感情や感覚が紐付いています。

自分の辛い過去や恥ずかしい体験、無価値感・・・

だから、心の悩みを相談することって、抵抗が起こりやすいのです。

(実際には、お話ししなくてもセラピーはできます^^)

でもですね、「怖い」「辛い」「見たくない」と抵抗を感じて動けない時こそ、ぜひ、乗り越えた先にあるものも知っておいてもらいたいなと思います。

セラピーには傷をフラットな状態に戻すだけではない、贈り物がある

私は日々、クライアントさんへ心理セラピーを提供していますが、自分自身も心理セラピーを継続的に受けています。自分がクリアになっていないと心の支援がしずらいということもありますし、技術を体得するという意味もあります。

ですが、私が継続してセラピーを受けているのは、単純にセラピーの時間がとても好きだから。

マニアなんですね笑

修行時代「セラピー受けたくない」と訴える同期のセラピストさんたちの隣で、嬉々として自分の傷をみにいくくらいには、根っからのドM気質の持ち主でした。

というのは、半分冗談ですが・・・笑

私がセラピーに対して抵抗がないのは、痛みや傷つきを癒した先の自分をいつも楽しみにしていたから。

心理セラピーには心の傷を癒すだけに留まらない、ステキな贈り物があるんですね。

というわけで、今回は私の主観的な体験を元に、セラピーを受けることの魅力を「ギフト」という形でお伝えしてみようと思います。

ギフト①🎁▶︎「傷」は0に戻るのではなく、プラスになる

誤解されやすいのですが、心の傷は取り除いて、0に戻すものではありません。

寧ろ、排除しようとすればするほど、悪化してしまいます。

心の傷は、一旦「受け入れる」ことが大前提。

「ああ、ここに傷があるんだね。痛いよね。傷があってもいいよ」

というのが、心の傷を癒すためには必要です。

逆説的ですが、こうすると、痛みがやわらぎ癒しがはじまります^^

そうして傷を詳らかにしていくと、その出発点には、優しさや愛情や生きることへの強い欲求があったことがわかってきます。そこには自分の得意や強みも隠れています。

ただし、自分の傷を受け入れられるということは、それだけの心の器(耐性領域)が必要になります。

心の器が育つと、心は逆境やストレスをうまく咀嚼して乗り越えるのが上手になります。

つまり、傷の抱え方、癒し方を体得できるようになるのです。

心の傷は癒しによって、温かさに変わり、自分の強みにもなります。

マイナスだと思っていた傷は、プラスになり、大きなアドバンテージに変わるのです。

ギフト②🎁▶︎自己理解・自己受容

私が心理セラピーを大好きな理由の一つに、自分を深く知れるということがあります。

悩んでいる時って、自分が行方不明になっていることが殆どです。親や世間が「良し」とする生き方を取り込み過ぎて、自分が本当にしたいことは何か?自分の心地よさはどこにあるのか?自分を見失っている時なんですね。

でもセラピーをしていくと、自分の根っこで感じてきたこと、本当の望み、大切にしたい心の中心が何なのか?が明確になっていきます。

加えてセラピーは、自分が苦しさを抱えることになった過程も明らかにしてくれます。「どうして自分が今こうなのか?」がとってもよくわかるんですよ。そして、その奥に自分が本当に大切にしたいことが見えてきます。

自分の中に、こんなに強さや愛や温かさや賢さがあったんだなぁと、自分でも驚きます。

ちなみに、昔の私はこんなふうに「愛が〜」とか「温かさが〜」とか言う人間じゃありませんでした。寧ろ、軽視していたし「人を信頼するなんてとんでもない!」という世界観の中で生きていました。

だから自分がこんなふうになるとは思ってもみなかった・・・^^;

心に深い傷を負っていると、人を愛したり信頼したりする部分が損なわれてしまいます。そうすると心を守るために自分のコアの部分から遠ざかってしまうのですね。

セラピーはその心のコア…本来の自分らしさに戻っていくことを助けてくれます。

ギフト③🎁▶︎他者理解・他者受容

こうして自己を探究していくことは、他者を理解してことにもつながります。

世界は自分の心の映し鏡ですから、自分を深く知ることは、人間を深く知っていくことにつながります。

理解できないあの人の行動が、どんなコアな傷から来ているのか、何となく背景が想像できるようになったり、

苦手だったある人が、自分が受け入れたくない心の一部を表していて本当は自分とそっくりだったことに気づいたり、

無力だと思っていた自分に強さがあったことに気が付くことで、他者の力も信頼できるようになったりします。

そんなことが、自己信頼だけではなく、他者への信頼や尊敬も生み出していきます。

それはひいては世界のあり方を深く理解することにもつながっていきます。

・・・結構、壮大じゃないですか?^^

【ギフト④🎁▶︎命の尊さを実感する】

その結果・・・「生きてて良かった」と、心から思えるようになります。

過去には辛さのあまり「死にたい」と何度も思ってきた私ですが、そんな私も命の尊さや素晴らしさを実感するようになりました。

生きることは、辛さや困難も伴いますが、それも含めて尊さに思い至るのです。

ありていな言葉でしか表現できないことがもどかしいですが

シンプルに「命ってすごいなぁ」って思います。

ー世界の見え方はこんなふうに変わります

辛い時、悩みの真っ只中にいる時は、どうしても「今の辛さ苦しさを柔らげたい」という気持ちが先立つので、「そんなことを考えていられないよ!」と感じる方が多いかもしれません。

でもセラピーの本来の良さというのは、現在の苦しみが軽減するに及ばす、傷や痛みを迎えにいった先に、世界の美しさや尊さを見られるようになることにあります。

私たちはトラウマを負うと、サバイバルするために、日常に脅威の源を探して視野を狭くしていくことになります。その方が生き延びる確率が高まると「からだ」が判断するんですね。意思とは関係なく、サバイバルモードのスイッチが入りやすくなるのです。

(これを専門的には「防衛定位反応」と呼びます。危険の対象がどこにあるか判断して、いつでも逃げたり戦ったりできるように、スタンバイすることです)

そうすると、ネガティブや脅威にフォーカスが向くために、世界は危険に溢れてみえます。

これが続くと、心も身体もしんどくなって、「世界は辛いことだらけ」になっていきます。

生きるのしんどいし、未来がないし、行き詰まっていく・・・

そんな感覚になります。とても辛いですよね。

ポイントは、「トラウマが世界をそう見せている」というところにあります。

外の世界に起こっている事実ではなくて、心の中のトラウマの痕跡とそれに反応して起こる「過剰なサバイバルモード」がそう感じさせてしまっているんですね。

この傷が癒えて、脅威の源が心の中から去ると今度は視野が広がって世界を広く見渡すことができるようになります。興味を引くものはないか?誰か素敵な人はいないか?フォーカスが興味関心に向かうようになります。

(これを「探索的定位反応」と呼びます。他者や世界との交流のために、体がひらけていきます)

すると、

世界はこんなにも美しくて面白いところだったのかぁ・・・

という世界の別の側面が見えてきます。

先日、クライアントさんからもこんなお話を聞きました。

「以前は自然を見て感動するような質ではなかったのに、家族と見た紅葉がきれいで、思わず泣きそうになりました」と。

日常にある幸せや、当たり前すぎて気づかなかったことに温かなフォーカスが向くようになるのです。

これ、感動しない性質だから感動しなかったのではなくて、世界は安全で穏やかな場所なんだと体が感じない限り、そのスイッチが入らないようになっているんですね。

その力はもともと備わっているんだけど、単純にサバイバルにエネルギーが注がれている間は、そこを見ることができないだけなんです。

でも、からだが安心して視野が広がると、世界の温かな部分が見えてきて、これまで生き抜いてきた自分の凄さや身体の賢さも含めて尊いものとして受け止めることができるようになります。

傷は受けない方が良かったかもしれませんが

傷があったからこそ、人はよりしなやかになれ、生きることの尊さを知ることができます。世界の美しさを深く感知することができるようになります。

それは、傷を受け止め、乗り越えようとする人たちだけに与えられる最高のギフトだと私は思っています。

・・・

「セラピーが怖いし逃げ出したい、傷に向き合うのがしんどい」

皆さんにも、きっとそういう時があると思います。

そんなときに、ぜひ、セラピーの先にあるものをみてもらえたらと思います。

それでは、また^^

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